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前の日は、焼山寺周辺の宿が取れなかったため、やむなく休足日となります。
お宿でゆっくりしていれば良いものを、潜水橋を見に行きました。
吉野川の堤防沿いを歩きます。
途中何度か休憩しながら歩いていましたが、気が付くとデジカメがありません。
「あれっ」と思い引き返しながら休憩した所を見て回りましたがデジカメは見当たりません。携帯電話に付いているカメラで代用しようと思いましたが、手振れがひどく良い写真が取れません。仕方なくお宿に戻り、さくら旅館のご主人に大型電気店が無いか聞きます。ケーズデンキがあるとのことだったので、さっそくタクシーで向かいます。
念願だった手振れ補正付きコンパクトデジカメ(Canon IXY DIGITAL)を購入。想定外の出費となりましたが、大満足です。
お釣りに、潜水橋を見に行く際、足に大きなマメを作ります。本当に踏んだり蹴ったりの休足日です。 |
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さて、今日はお遍路最初の難所、焼山寺遍路道に向かいます。
「大変だよ」とみなさんおっしゃるので、行く前から、正直精神的に参ってます。
さくら旅館のご主人を記念撮影です。
はい、チーズ。
大変お人柄の良いご主人で、色々なお話をさせて頂きました。
多くの学びを頂き感謝します。
徳島の「お父さん」って気がします。
いつまでもお元気でいて下さい。 |
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ついでに僕も記念撮影です。
はい、チーズ。 |
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まずは、藤井寺(ふじいでら)に向かいます。 |
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今日は、少し雲ってますね。
天気予報では、明日は雨とのこと。
今日は何とかもってくれれば良いのですが・・・。 |
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緑のじゅうたんがきれいです。 |
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町のあちこちで「お祭り」や「おみこし」を目にします。
僕も子供の頃、町内会の行事で、「元気を出していちにのさん。ワッショイ。ワッショイ」って言いながら町をみんなと歩いた思い出があります。最近はめっきり見なくなりました。寂しいことです。 |
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藤井寺の看板発見。
もうじきです。 |
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たくさん実がなってます。 |
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まだ青いみかんですね。
僕はみかん大好きなんです。
みかんなら何個でも食べれます。 |
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藤井寺に着きました。 |
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藤井寺の名前の由来となっている藤の木ですね。 |
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今日はまだ早いので、鐘を付くのは控えます。 |
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焼山寺遍路道の案内です。
今からここを歩くのかと思うと緊張してきます。 |
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まずは、本堂を参拝します。
父の供養と、遍路旅の安全をご祈願します。 |
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無事、焼山寺遍路道を歩き通せることをご祈願し、写経を納めます。 |
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次に大師堂です。 |
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納経所にて納経帳に朱印を頂きます。 |
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ご本尊の御影です。 |
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判衣に朱印を頂きます |
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これで、藤井寺の参拝は終わりです。
次は、焼山寺です。
お大師様
「無事、焼山寺遍路道を歩き通せます様に、お守りお導き下さい」
本当にお大師様に祈る気持ちで一杯です。 |
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焼山寺は左に向かいます。 |
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ここを登って行くんですね。 |
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健脚5時間
平均6時間
弱足8時間
とあります。
自分は平均かな?
(実際、8時間掛かりました。この後、死ぬ思いをしました) |
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焼山寺12.3キロとあります。
平道なら大した距離でもありませんが、山道です。どの位険しいのか分かりません。
不安で一杯です。 |
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道の途中にお地蔵さんの祠がたくさん作ってあります。
良く見ると1番札所の霊山寺から順に2番、3番・・・と作られているではありませんか!
遍路道沿いにあったので、1つづつ写真を撮り出しました。そのうち、88個全て撮りたくなりました。
途中から遍路道にそれて祠がありました。
せっかくなので、全部撮って行こうと思いました。これがそもそもの大失敗の始まりです。
内心、焼山寺遍路道を進むことにためらいがあったのも事実です。僕は結構プレッシャーに弱いんです。はい。
全部撮ったつもりでしたが一部抜けていました。ただ、焼山寺を登られる方はこの祠に気を取られてはなりません。
後で泣くことになりかねません。 |
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八十八個の祠を撮り終えました。
時計を見てびっくりです。
もう10時を回っています。
急がないと納経所が終わる17時に間に合いません。
先を急ぎます。 |
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細い山道です。
途中、お母さんと娘さんが遍路道におられ、
「ご接待させて頂きます」とのお言葉。
みかんと栗を頂きました。
栗はお酒の香りがして、とても美味しかったです。ありがとうございます。
ご接待頂いたことに感謝します。 |
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名古屋で毎朝ウォーキングして、基礎体力を付けたつもりでいましたが、山道は練習していません。ももの筋肉が張ってきます。 |
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登りが続きます。 |
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途中、小雨が降ってきました。
用心してカッパをはおって歩きます。
これがまたまた大失敗です。
結局、大雨にはならずカッパをはおっていたため、体が蒸さって体力をかなり消耗してしまいました。やはり、カッパは雨が降っている時に着ないと辛いです。
また一つ学びを頂きました。
感謝します。 |
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峰に出ました。 |
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平道は本当に楽ですね。 |
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焼山寺まで11.5キロまだまだ先です。 |
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再び、山道を登ります。 |
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遠くの町並みが見えます。
結構、登ってきました。 |
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登り坂は続きます。 |
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焼山寺まで11.6キロ。
何だか全然進んでいません。
標識によって測定方法が違うのでしょうか?
歩いても歩いても終わりが見えない状況です。 |
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これは休憩所でしょうか?
骨組みだけです。 |
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お昼になったので昼食にします。
昨日泊まったさくら旅館からご接待頂いたおにぎりを頂きます。
昨日、デジカメを買った際に付いてきたマニュアルやケイブル類が増えたせいか、リュックが異様に重く感じます。
肩が痛くて痛くてたまりません。
明日、自宅に郵送することにします。 |
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おにぎりの入った箱を取り出そうとしたら、なにやら包みに文字がたくさん書いてあります。般若心経が書いてあるのかなと思いきや、さくら旅館のご主人からのお手紙でした。
「わ〜、やられた〜」
って感じです。
緊張の糸が切れて、涙が・・・。
さくら旅館のご主人、お手紙頂いてありがとうございます。
僕が今お遍路旅が出来ることの幸せを改めて噛み締めたしだいです。
ファイトが沸いてきました。
さくら旅館のご主人の心配りに感謝します。 |
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さあ、先を急ぎましょう。
ところどころに標語がつるしてあります。
「元気を出して」
これが本当に勇気付けられます。
ありがたいです。 |
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まだ、半分も来てないんですよね。
いつになったら着くんでしょう。
不安です。 |
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はぁ、はぁ。 |
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はぁ、はぁ。 |
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はぁ、はぁ。 |
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ペットボトルに水を補充します。
カッパを着ているので暑くてたまりません。
でも、それを脱いで仕舞う気力もありません。
このまま進みます。 |
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湧き水が冷たくて美味しいです。 |
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先を急ぎます。 |
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はぁ、はぁ。 |
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「がんばって下さい」
ありがとうございます。 |
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はぁ、はぁ。 |
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「心をあらい、心をみがく」
既に心が無心です。 |
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建て屋が見えてきました。 |
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長戸庵です。
ってことは、まだ3.2キロしか進んでいません。まだ、9キロ以上あります。
大変です。 |
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先を急ぎます。 |
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うっそうとした、竹やぶです。 |
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うわ〜、昼なお暗いです。
緊張します。 |
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かなり参ってます。
本当に焼山寺まで行くことができるのか不安です。 |
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見晴らしは良いですね。
しばし、リフレッシュです。 |
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先を急ぎます。 |
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はぁ、はぁ。 |
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「生かされている今がんばって」
がんばってます。 |
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尾根に出ました。
歩きやすいです。 |
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「一歩づつ前進!」
前進してます。
でも終わりが全然見えません。
辛いです。 |
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「同行二人」
お大師様にすがる思いです。 |
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またまた、登りです。
股の筋肉が張りっぱなしです。 |
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道無き道を進みます。 |
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柳水庵まであと1.5キロ。
そこで丁度半分来たことになります。
ってことは後半分ある訳です。
大変です。 |
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とにかく進むしかありません。 |
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歩いているのに、なかなか進みません。
気持ちだけ焦っています。 |
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はぁ、はぁ。 |
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はぁ、はぁ。 |
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はぁ、はぁ。 |
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はぁ、はぁ。 |
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はぁ、はぁ。
肩が痛くて痛くてたまりません。
でも、行くしかありません。 |
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はぁ、はぁ。 |
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はぁ、はぁ。 |
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「もう一息がんばって」
本当ですか? |
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はぁ、はぁ。 |
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小屋です。
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柳水庵? |
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この標識を見る限り、先程のは柳水庵では無いですね。
はぁ、先を急ぎます。 |
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やっと、柳水庵です?ネ。
もう、意識が遠くなってきていて、思考能力が極めて低いです。
もうどうでも良い感じ。
今の僕には無心で進むしか出来ません。 |
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休憩所です。
結構きれいですね。
充分寝れます。 |
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先を急ぎます。 |
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はぁ。はぁ。 |
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左に進みます。
道を聞こうにもだれもいませんので、こういう分岐点で標識があると本当に心強いです。 |
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もう、目が行ってます。
無心で歩くしかありません。 |
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辛いけど、先を急ぎます。 |
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道がさらに狭くなってきました。
不安です。 |
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「本来無一物」
そうですね。 |
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お大師様、どうかお力添えを・・・。 |
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容赦なく登りは続きます。 |
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はぁ。はぁ。 |
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はぁ。はぁ。 |
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目が完全に行ってしまいました。
これはお見せできるレベルにありません。
放送禁止です。 |
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「がんばって下さい」
がんばってます。
焼山寺はまだですか?
本当に辛いです。 |
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あっ、あれはお大師様ですよね。
ありがたいです。
お大師様〜。 |
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あと、3.9キロです。
まだ、2時間程あります。
もう、勘弁して下さい。 |
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ここが一本杉ですね。 |
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もう、本当にお大師様にすがるしかありません。
何とか焼山寺に着かせて下さい。
お願いします。 |
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先を急ぎます。 |
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「南無大師遍照金剛」 |
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「南無大師遍照金剛」 |
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「南無大師遍照金剛」 |
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「南無大師遍照金剛」 |
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「元気を出して」
もう出ません。
本当に出ません。 |
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「南無大師遍照金剛」 |
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「南無大師遍照金剛」 |
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水墨画の様な風景です。
しばし、癒されます。 |
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「南無大師遍照金剛」 |
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「南無大師遍照金剛」 |
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「南無大師遍照金剛」 |
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後、6キロ!
車の場合ですか!
ほっ。 |
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下の道に進みます。 |
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後、50分です。
でも、体力、気力が限界です。
もう17時に納経所に着けません。
と思ったとたん、それまでの緊張の糸が切れて、疲れがどっと噴出してきました。
もう立っていられず、その場でしゃがみ込んでしまいました。
このままここで寝てしまおうかと思いました。
でも、明日の天気予報は雨、暗くなれば身動き取れなくなります。
もう無心で歩くしかありません。
そこから先は自分でも良く覚えていません。
無心で登り坂を歩いていきます。 |
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「ご苦労さまです。がんばって」
もう無理ですって。 |
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1時間程して、焼山寺に着きました。
もう18時を過ぎています。
境内にはもうだれもいません。
今日のお宿のなべいわ荘はここから1時間程掛かります。
辺りは真っ暗で道も良く分かりません。
電話をしようにも携帯の電波が来ていません。
はぁ、歩くしかありません。 |
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真っ暗で、懐中電灯無しには歩けません。
いよいよ雨が本格的に降ってきました。
もう不安で不安でしょうがありません。 |
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この道あっているのか聞くこともできません。人も車も民家さえも見当たりません。
そうこうしていると、明かりがついている民家が1軒あります。ここで道を尋ねるしかありません。
「すみません。道を尋ねたいのですが。なべいわ荘はこの道を進めば良いですか?」
「そうです。20分程掛かりますよ」といわれながら「送っていきますよ」とのお言葉。
この時程、お車のご接待がありがたく感じたことはありません。
後からその家のお婆ちゃんが出てこられて、焼き芋をご接待頂きました。
疲れ切った体に甘い焼き芋は本当に美味しかったです。
もう、ただただ感謝、感謝、感謝の気持ちで一杯です。
心を込めてお礼の印に納札をお渡ししました。本当に助かりました。
ご接待頂き感謝します。
僕はまだ生きています。 |
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本当に良くお宿に着けたなと思います。
もう、身も心もクタクタです。
遅い夕飯を頂き、お風呂に入って寝ます。
「あ〜、生きてて良かった」
お大師様のお力添えのお陰です。
感謝の気持ちで一杯です。 |
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まだまだ、お遍路旅は始まったばかり。
でも、この焼山寺の難所は、色々な条件が重なって本当にきついものになりました。
お遍路の基本である、早立ち、早仕舞いの大切さを身を持って学んだしだいです。
多くの学びを頂き感謝にながら眠りに付きます。 |